ちっちゃい頃。
遠足の前夜、楽しみなあまり眠れなくって…
ベッドに潜り混んだまま悶々とした記憶ってない?
誰かを好きになったトキメキは、
あんなドキドキする気持ちに似てる。
人生においてのはじめての恋。
「恋い焦がれる」っていうけど…まさにそんなカンジだよね。
それこそ胸の鼓動までもが高まって、誰かに聴こえてしまいそうなくらい。
心臓がドキドキすることはしかし。
恋して幸せな時にだけってワケじゃないよね。
怖い映画を見た時、テーマパークのアトラクションで絶叫マシーンに乗った時。
要するに恐ろしい体験をすればひとはやはりドキドキしてしまいます。
…幸せなはずの。
ずっと憧れていたはずの…恋を憶えたのに。
なぜ恐怖を味わった時と同じように心臓がドキドキしちゃうんだろう?
その答えはズバリ。
恋もまた、あなたの人生において実のところは。
恐怖体験に等しいものだから。
余談。
これを読んでいるあなたがもしも男の子ならば。
意中の女の子に告る時は、
たとえば落ちたら即死しそうなものすごく高い場所だとか。
海でふたりで泳いでって…果てしなく沖のほうで彼女を抱きしめながらだとか。
そういうシチュエーションを準備出来ないのであれば、
わざと彼女を歩道橋の上に呼び出してみるとか。
あ、そうそう…歩道橋の下はものすごく、
クルマの通行量が多いところを予めリサーチすること。
とにかく、イド(無意識)の世界で女の子が恐怖を感じる場所で告れば。
かなり高確率であなたは彼女のハートを射抜くことに成功するでしょう。
これを、心理学用語で「吊り橋効果」といいます。
…1974年、カナダのダットンとアロンという学者が、
実際に18歳から35歳の男女に揺れる吊り橋の上で告らせて実験。
「生理・認知学の吊り橋実験結果」
(俗称・「恋の吊り橋理論」)として提唱した理論。
話が逸れた。
恋と恐怖は本当は背中合わせ。
誰かを好きになって胸がドキドキしちゃうのは。
実は恋というものがものすごくリスキーな要素を孕んでいるから。
恋をすれば。
誰かを恋い焦がれてそればっかりになってしまえば当然。
あなたの世界は狭くなり、同時にあなたの視野も狭まるもの。
寝ても覚めても心のなかは気になるあの人のことばっかり。
勉強も仕事も手につかなくなるほどに想い焦がれるのが。
恋の禁断であり甘美。
あばたもエクボ。
それこそあの人のどうしようもない欠点までも、
愛おしくなってしまえば恋の味わいは完全に頂点の域。
恋はまるでブラインドだよ。
あなたの目の前の相手の真実も、
あなたの周囲も…そしてあなた自身の心のなかさえも。
見えなくさせてしまうのが恋の本質。
そういう危険に足を踏み込むわけだから。
注意しなよ…そう本能的にあなたの内側が、
ドキドキさせることで黄信号を点滅させている。
ドキドキが頂点に達してしまえば。
当然の結果あなたと意中の人はお互いを求めあって、
ひとつになってしまうことでしょう。
それそのものは自然の摂理。
生きものとしてのあなたと意中の人とが「種の法則」に従って。
求めあうだけです。
ただ。
求めあった結果…ふたりが子を為せば。
あなたとお相手は生まれてくる子の未来に対しての責任が生じるとともに、
おとなとして社会に対しても責任を果たしていく必要があります。
親になることはものすごく大変です。
社会人として力を尽くし、心を傾けて生き抜くことは…
それこそ人生最大の主題です。
そういうリスクが当然のごとく存在し、
責任を果たすおとなの振舞いを求められる年齢にあなたが達したからこそ。
誰かを好きになれば胸がドキドキしてしまうのです。
そういうことも理解したうえで。
人間として恋を楽しみ、
いつか運命のひとと出会って愛し合い…
おとなとしての責任も果たせる社会人として世の中にそれなりに貢献し。
深い愛を識って、
幸せな人生を満喫してください。
誰かを想ってドキドキしちゃうのは。
危険に一歩足を踏み込んだ心の点滅信号であると同様に。
あなたがおとなとして社会に出られる準備が、
確実に整いつつある証拠です。
前田 穂花
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