「永遠の愛」だなんてまやかしだ。
そもそも生きとし生けるもののいのちには限りがあるのだから。
生きているこの瞬間にしか、
想いを誰かに伝えることは出来ない。
――キレイなまま終わる恋?
死をも超越する永遠の純愛??…ふざけんな!
もしも。
愛というものが綺麗事ではなく本当に存在するんだとしてもだな…
それは間違いなくこの瞬間生きているからこそだよ。
どちらか片方、もしくはお互いが、
死んでどうやって愛を語るのか?
姿も見えなくなった相手にどうやって自分の深い想いを伝えるのか?
まやかしの言葉や綺麗事で、
人間としての雑多な感情を美化し、
昇華させようと試みるのは止そうよ、
…ムリなんだから。
あり得ないんだから。
「生きている」そんな現実はもっと生々しいだろうよ。
ドロドロした感情の絡み合いのカオスな底から、
それこそボコボコとガスみたいに湧き出す、そんな汚いものの先に…
もしかしたら愛の本質はあるんじゃないの。
もはや誤魔化せない醜さとの狭間。
想いを伝えたい人がいるなら今すぐ連絡しよう。
大切な人がいるなら今すぐ告ろう。
今こそ好きだといおう、キミが必要なのだと。
キミはこの世に望まれた大切な存在なのだと今こそ話そう。
生きているから、お互いに存在しているから…
かの人がいなくなったあとで…
墓の前に涙しつつオマエはいい奴だった。
大切な奴だった…そう話しかけても。
鬼籍に一旦入ってしまえば、
大切なはずのその人間にはもう何も聴こえはしないのだから。
だから、想いは今すぐに伝えよう。
生きているから声は聞こえる、話し合える。
大切な存在なのだと伝えられる。
ギュッとハグしてあげられる。
生きているからこそ間に合う。
本当に愛があるんなら、愛を識りたい…そう思うなら。
今すぐ告げよう。
死の床で愛なんか成就しない。
仮に成就しかけても…時すでに遅しだ。
そののちずっと悔やむのは遺されるほう。
人間の生命が有限である以上、愛もまた有限なのだから。
永遠の愛だなんて響きがキレイなだけ。
まやかしの台詞なんだから。
前田穂花
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