病床の穂花はある夜、眠れないまま悶々と思い悩む。

…気分の持っていく先がないから。
思い余って自棄食いしてる穂花だけど。

何せこの病みまくっている状態だから。
自棄食いしようにも現状食べられるものはお粥オンリー。

味もそっけもない白粥をスプーンで口に運んでいたら…
自然に涙が出た。

生きていることは果てしなく孤独で、
そしてどうしようもなく滑稽だった。

――誰かに踊らされているよ、
このやらされている感がたまらなく苦しいよ。

ムリして笑っている、
他者の考える穂花であり本名の自分であるために…
無理してポジティブなキャラを演じ疲弊しまくっている、
心は泣き叫んでいるよ。

そして相手の期待に応えようと過剰に演出し…
疲れ切って壊れて結局棄てられる穂花だから。

自分で自分を葬りたいと常に願う。
生きていてごめんなさいといつも思い続けている。
自分が許せない…
罰としての自傷を自らに課したい。

一日も早く全てなかったことにしたい。

…お粥なんてそうそう多量には食べられないよ…
眠りを誘うジャスミンティーで、
睡眠薬を煽っている、このまま何もわからなくなればいいな。

――結局穂花には「愛」の意味が全く理解できなかった。

それなのに愛されたかった。

安心できる居場所が欲しかった。
自分の人生をシェアしてくれるそばにいてくれるような誰かが欲しかった。
もっと素直になりたかった。

自分を解き放って心から泣いて…楽になってみたかった。

いつも我慢していた、我慢した記憶しか脳裏に浮かばない。
穂花も幸せって何なのか具体的に理解できる人生が欲しかった。

もっと受容されたかった。

穂花はここにいればそれでいいんだよという周囲からの配慮の言葉さえも…
気休めだとしか感じられない、
常に頭の中では懐疑的で他者の善意すら素直に受け取れない自分が悲しかった。