思うように動けないから余計に。
ネガティブな感情に苛まれ続けている穂花だけど。
決めた、
こんなに悩むんだったら当面は…
介護保険も障害の諸々のサービスも利用しないことにするよ。
自分で納得いくところまでやってみればいいんじゃん。
やりもしないで出来ないと思うなんて…
あたしらしくないじゃん。
出来ないことばかりクローズアップしてるから落ち込むんじゃん。
今出来ることにフォーカスしよう。
今出来ることについての能力をそのまま温存し、
併せて自分のなかの力を上げていこう。
それでも…
どうしてもダメだったらその時に。
また悩めばいいんじゃん。
そりゃあ。
究極の目標は左半身も問題なく動かせることだよ。
でも…そこだけを考えているから。
出来ていない現状が過剰に悲しくなるんじゃん。
左手が仮に動かせないままであっても。
右手がその部分を完全に網羅して日常生活に支障をきたさない程度になれば。
ある意味目標はクリアなんだし。
つーことで。
穂花は具体的な今後を考えているんだよ。
このあと住むおうちは完全バリアフリー。
車椅子のまま炊事が出来るし、
入浴も車椅子のまま可能です。
お風呂用の車椅子というのもありますが…
これまで…使用しなくても、
穂花は普通よりちょっと高さがある洗い椅子で間に合ったから。
今は慌てて用意しません。
今後の状況をみて検討します。
もしかしたら…入浴用車椅子よりはむしろ、
介護用のシャワーチェアのほうが便利、って場合も、
あり得るかもわからないし。
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お譲りくださった方、どうもありがとう。
まあ…一番悩むのは食事ね、毎日のことだし。
便利なものはいっぱいあるよね、
だけど穂花はものすごいアレルギー体質。
加えて嚥下の障害も併せ持ってる。
それで。
右手でも出来る自炊というものをマジで考えてる最中。
買い物は大変だよ。
新居の近くにスーパーは幾つもあるんだけどみんな坂の上。
現時点では車椅子の自走も正直自信がない穂花ちゃんだからね、
当面の間はネットスーパー頼り。
値は張るけどそれでも宅配弁当よりは安くつく勘定。
左手が動かないということで。
例えばみじん切りとかは難しいのかな。
それもしばらくはカット野菜で対応、だよな…
栄養価云々と批判する輩も多いけど…自分で作ることに意義があると思うから、
今はこだわらない。
日々の食事は昆布出汁をベースに食材を柔らかく炊いて、
葛粉や片栗粉でとろみをつけて食そう。
嚥下が難しい穂花にとっては。
とろみ食にすることで安全な食事を摂れることはもちろん。
脂分を減らせてダイエットにもよさそうだし、
カラダがすっきりすれば春にはもうちょっと動かしやすくなるかも。
ちょうど冬場だし…ごはんが冷めることも防げるんじゃないかな。
誤嚥性肺炎ってよく聞くじゃん。
あれはちょうど穂花のように嚥下に障害のあるお年寄りが起こす肺炎。
後期高齢者の死亡原因第2位というから…
特に独り暮らしの穂花にとっても誤嚥は極力避けるべきテーマ。
リハビリを兼ねて食事作りをするって意味があるじゃん。
穂花はパンや麺類もヤバいの…
好きなんだけどさ…パンは当然誤嚥の可能性が高いし。
麺類も…なぜかうまく飲み込めなくて鼻から出てきちゃうのね…
ジョークになるならまだマシなんだけど、
それで死んじゃったら冗談じゃ済まないし。
当然…体調が悪い日には小麦粉やそば粉でアレルギーになっちゃうこともしばしば。
誰かと一緒の時だったら体調と相談しつつ食べるの。
でも、ひとりの時には…
敢えて危険な食べものを摂らないくらいの配慮はすべき、
いいトシこいたおとななんだし。
――食事ひとつとっても。そんな面倒くさい穂花だよ。
でも、それを面倒くさいと捉えるのか、
いいリハビリのチャンスだと感じるのかは…穂花の力量が問われる部分。
穂花の本質が問われる部分。
がんばれるんじゃん。
いろいろ思い巡らせていたら、
逆に勇気が湧いてくる気がしてきた。
生きてゆけそうだ。
大丈夫だ。
穂花
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